30代ひねくれ者のがん闘病記

性格が捻くれた30男のがん闘病記 転移で第2章スタート

12/7 6D/1W:現世と隠世

昨日の夜で点滴が完了し、やっと主人の座が僕に戻ってきた。

がん治療と言ってもその方針は患部や重篤度によって様々だが、僕の場合は、3週間の固まりを3クール=9週間に渡って投薬治療をすることになっている。そして、3週間の1週目は点滴メイン・2週目は投薬メイン・3週目は何もしないという内訳になっているので、9週のうちの1週がやっと終わったことになる。

ということで外出許可を頂き、近所のショッピングモールにリハビリがてらに行ってみることにした。気分はもう遠足に向かう小学生だ。

 

車に乗って病院から離れていると、窓から見える「国立がんセンター」という文字が余りに現実味の無いようなものに見えて、本当に数分前まで自分がここで治療をしていたのだろうか?と思えてくる。

この世には、現世「うつしよ」と、対極する世界の隠世「かくりよ」があると言うが、僕は今まで「かくりよ」に一時的に「隔離」されていただけで、今日からまた「うつしよ」で何事もなく生きて行くのではないだろうか…と思えるくらい別の世界に感じられる。

 

しかし、近くのショッピングモールに着くと人でごった返しており、今までにない不安に襲われる。まず、その場に立っているだけできつい。何もしていないのにきつい。どのような行動をとるにも、まずは座ってから暫くたってからでないと行動できない。

エスカレータを乗り継ぐという単純なことが「とてつもない苦行」に思えてくる。本当にきつくて動けないのだ。原因は分からないが、体力・免疫が低下しているからかもしれないし、投薬後に初めて外に出るという精神的な不安も含めて「軽いパニック障害」的な状態になっていたからかもしれない。それにしても今までに感じたことのない不安とプレッシャーで、その場にいるのもきつくて、本当に情けなくて涙が出そうだった。でも今の僕は、点滴もしていない・病院着も着ていない。見た目はただの鈍い男だ。誰も道を空けてはくれないし、助けてもくれない。

この外出には同伴者として彼女に伴ってもらったが、多大な迷惑を掛けてしまった。しかし、彼女がいなかったら、僕は気分が悪くなったときに隣の人に泣き付いていた可能性が大いにある。隣に人がいる安心感はこんなにも大きいのだろうかと心の底から実感することができた。そして、病院から出るときは、万が一に備えて付き添いをお願いすることにしなければならないということを肝に銘じた。

 

気分転換とは程遠い状況で、這う這うの体で病院に戻ってくると、先ほどの体調不良が嘘のように、復調した。僕はメンタルは人生で鍛えた方だとは思っていたが、まだまだ修行が足りないようだ。

僕の「うつしよ」は、まだ「病院」の中にある。