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30代ひねくれ者のがん闘病記

性格が捻くれた30男のがん闘病記 転移で第2章スタート

9/12 味覚喪失者の日々

がん闘病記2(退院後)

放射線終了から20日目。

今日こそはと味覚が戻っていることを願いつつ毎朝の食事を摂るが、大抵その願いは「無味」と共に儚くも打ち砕かれる。もう味覚が無くなってから2ヵ月近く経った。味を感じない世界も日常になりつつある。

嗅覚・味覚の喪失というのは、視覚・聴覚に比べると医療関係者の間でも軽視されがちだ。しかし、QOLの観点からもっと議論がされて然るべきだと思う。本当に生きる歓びが失われてしまう。この苦しみは実際に味わった人間にしか分からないだろう。(味が分からないのに「苦しみを味わう」とは何とも皮肉な表現だな。)

それにしても、味覚が戻る瞬間ってどんな感じなんだろうか。記憶喪失者の記憶が戻るように、ある瞬間に突然戻ったりするのだろうか。いつも興味深く思っているし、その瞬間が来ることを心から切望している。

このような苦しみの記録を日記に残すのは、自分自身が実験体になったようで正直楽しい作業ではない。しかし、ここまで事細かに味覚が戻るまでの経緯を記した記録もないので、今後同様の放射線治療を受ける人の参考になるように、この作業も決して無駄ではないとは信じている。そして、自分自身も数年後に生きていれば、この日記を見返したとき、楽しく食事ができる歓びを噛みしめることができるだろう。

 

さて、味覚のせいで食べる気は起こらないのだが、当然ながら腹は減る。

退院してから動くことが多くなったので、何か作業をしていると腹が減って仕方がない。しかし、食べているものは、ウィーダーインゼリーとかお粥とか腹に溜まらないものばかりだ。ということで腹持ちのいいものを食べることにした。「餅」だ。

とは言っても、放射線の影響で嚥下力が極端に落ちているので、正月に餅を詰まらせて昇天する老人のようになりはしまいかと、一抹の不安はあった(笑)念の為自宅の掃除機の位置を確認しておく。餅を食べてみると、当然味はしないが、歯ごたえがあってとても食べごたえがある。餅は元々味がないので食べていても違和感もない。久しぶりに普通に食べてるって感じがする。とても満足した。

当面は餅を主食にすることにしよう。