30代ひねくれ者のがん闘病記

性格が捻くれた30男のがん闘病記 転移で第2章スタート

4/10 桜

放射線終了から228日目。

僕が昔住んでいた家の近所は桜の名所だった。近くを通ることがあったので、花見がてら昔の家はどんな感じだったかと少し覗いてみることにした。

昔のボロ家を見て、色々な思い出がよみがえってきた。ここに住んでいた頃は、父親がまだ働けていて、裕福ではなかったがそれなりに幸福な日々だったように思う。僕はもうこれからの人生で、あの頃のような「普通の日常」を手に入れることなどないのだなと思うと、胸がとても苦しくなった。

母親と父親に挟まれて、手を繋ぎながら桜を見に行ったことを思い出す。

 

僕は自分の病気やそれに伴う離婚などの苦痛には耐えることができる。自分がただひたすら我慢すればいいだけの話だ。ただ、母親に対してはいつも申し訳なく思う。

母親にはもう親孝行らしい親孝行もしてやれないのかもしれない。孫をみせてやることも難しいのかもしれない。母親より先に死んでしまうのかもしれない。そう思うと、とても申し訳ない気持ちで一杯になり、涙が出てくる。

 

桜は儚いからこそ美しい。と誰かが言った。

でも泥まみれで必死に生きるドブネズミも美しい。

足掻きながらも頑張るしかない。しんどいけど。