30代がん闘病記

転移で第2章スタート

10/27 恩人との再会

新卒で入社した会社の人事の方が福岡に来たので、博多で飲んできた。僕を採用してくれた恩人でもあり、社会人としても尊敬できる方であったので、お誘いがあったのはとても嬉しかったし、辞めた後もこうやって付き合いがあることは本当に有難いことだ。

新卒の就活なんて、世間知らずの学生が、自分を多少偽って高く売ろうとしたりするもので、やっぱり僕も大口を叩いたり、恥ずかしいことも言っていたりする。その方は全部僕の言ったことを覚えていて、僕の情けない部分も知っているし、病気のことも知っているので、何も隠すことがない。自分を偽る必要がないのは気楽なものだ。

忙しい中、長い間お付き合い頂いて、楽しい時間を過ごせた。普段は飲まない酒も飲んでしまって、千鳥足になりながら帰宅するという経験を久しぶりにした(笑)それくらい楽しかったのだろう。

 

僕は結局この会社を辞めているわけで、この人事の方と、僕が尊敬していた上司には、不義理をしたという後ろめたさも、やはり未だに残っている。それなりに評価されていた状況で、退職後に病気になった件も含めて、あの辞めるという選択は正しかったのだろうか、などは未だに時々考えたりもする。

しかし、僕が辞めて以降も、会社を辞めた同期や上司もそれなりに多くいるようだし、みんな悩みながら生きている。人生で正しい選択なんか無いのだ。 

そして、僕から見れば、スーパーエリートで、人生も順風満帆に見えたその方も、人知れず悩み、何かを捨てる決断もしている。しかし、そんな苦労はおくびにも出さず生きている。ここ数年は、僕は自分のことだけを見つめ続け、自分だけが不幸であるような考えに囚われていたが、苦労を背負っていない人間などいないのだ。

 

僕が結構好きな言葉で、

幸福な家庭はみな同じように似ているが、

不幸な家庭は不幸なさまもそれぞれ違うものだ。

というトルストイの言葉がある。

多少苦しんで生きているくらいが、人間らしい生き方なのかもしれない。

 

因みに、先日日記で書いた「信じられない出来事」とは、転職が決まったということであり、その転職先が信じられないレベルの会社であったという話だ。そして、僕は新卒で入社した会社よりも、更に大規模な組織の中に戻ろうとしている。

一時は悩みながらも出ていった会社よりも、いわゆる「歯車」としての役割がいっそう求められる会社に入社することにはなる。となると、新卒の会社を辞めなければよかったとのにという声が絶対に出てくるのだけど、その時々で自分の最善と思う選択をしていく以上、矛盾した選択になることは避けられない。

人生なんか自己矛盾の集合体だ。

自分の過去の考えを、否定しつつ、咀嚼して、再構築することこそが人生であると思う。